浄土真宗本願寺派 教念寺
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 第15話 本当の音色

 ある講演会の講師に、学生時代の恩師を招きました。

  終末期の患者と家族の会なので、四十年近く、医療と看護教育の現場に関わる先生が適任だと思ったからです。医療を受ける側と提供する側両方の本音をしっかり語って頂いて、大変意義深い講演となりました。

  私自身は出来の悪い学生だったので、当時の先生の白髪の十本くらいは私のせいかもしれないほどでした。当時の先生の御年は、ちょうど今の私と同じ。先生が二十歳の時、私はオギャーと生まれましたから。(今、学生である後輩たちは、私が二十歳の時産声をあげた子たちです)先生は今の私より、もっと大きかったなぁ。

  今、ステキなシルバーグレーの髪の先生にお会いして、ふむふむ、先生をかっこよくしたのは、私を含む二千人ほどの学生たちかも、と考えました。
あと二十年後に、私、先生みたいにかっこよく生きているかなぁ。

  かつて新人類と呼ばれた私たち世代が親とさせて頂いて、今また我が子たちを宇宙人みたいだ!と思ったりするわけです。

  亡き父がよく「オレの気持ちは、おまえが親になった時になった時わかる」と前おきしてから、優しいお小言を述べました。娘の方も「お父さんの子供の頃を思い出してみてよ。私の気持ちがわかるから」すると「ふん、そんな昔のことは忘れた。どんなに言ってもわからんだろうが・・・」と続くのです。

  子供と本音で語るうち、「親鸞聖人ならきっとこうおっしゃたはず」と聖人に助けを乞うと、「あ〜、もう、母さんはすぐそこへ行っちゃうんだな」とあきれられます。住職も、「聖人が今の時代へタイムスリップしてきたら、科学の発達には驚かれるだろうが、人間の本質はこうも変わらんのか、とたいして驚かれないと思うよ」と。

  私の心の本当の音色は、さてどんな音。子供にどうこう言うよりも、まず自分自身がどうかな。聖人ならどうされるかな。