浄土真宗本願寺派 教念寺
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 第17話 かちかち山

 子供の多い我家では、夏休みはさながら学童保育のようです。遊びに出る子がいても、誰かの友だちがちょいと来たりすると「あ、今日は○人多いね」とか。とりわけ、四歳の末っ子はお姉ちゃんたちが遊びに来ると嬉しいようです。お姉ちゃんたちも、上手に子守りをしてくれて、それをいいことに、私の都合で子守りを頼まれる子も。

  ある日のこと、末っ子がどうしても『今』本を読んでくれ、と持ってきました。夕食を作らねば、と思う時間に十冊くらい!「あとでね」と言ってもききません。お姉ちゃんたちの名前を順に呼び、「どうしておうちに帰っちゃったのーっ」と、泣く泣く泣く。泣いて寝ちゃうかな―と思っても寝ない、ガンバル。こっちも読まない、ガンバル。

  そのうち、どうしたら早く夕御飯ができて、なおかつウルサイ弟が静かになるか、とそばにいた次男は考えたらしく、お母さんのかわりにその本読んであげる、と名乗りでました。

  本の一冊に『かちかち山』がありました。読み終えた次男が私のそばへ来て「母さん、ボクね、『かちかち山』ってどーも好きになれないんだ。タヌキがさぁ、あれじゃあんまりだよ。かわいそうだもの」と。

  思わずジャガイモをむく手を止めました。そうそう、私も子供の頃、かちかち山がいやでした。タヌキがかわいそうというより、ウサギがいやでした。物語にもよりますが、ほとんどはウサギの方からおじいさんに仇討ちの話を持ちかけるのです。確かにウサギは頭がいいけれど、正義をかくれ蓑にいじめているんじゃないか、というような気持ちになりました。

  いつの間に、そんな気持ちをどこかへ忘れてきちゃったんだろう。

  ウサギ、タヌキ、おじいさん。学校や社会の中でも、各々の立場の人を見かけるなぁ、とか。もしかしたら、このお話はある国を各々の登場人物にたとえたものなのだろうか、とか。私でいえば、子供たちに対してウサギになっていること多いんだろうなぁ、とか。

  頼まれもしないのに、「いい子」にするという名のもとに、自分の言動を正当化していないだろうか。「いい子」になってほしいからアレコレうるさく言うのだけれど、それは自分にとって都合の「いい子」だし、何より「いい子」の母親でいたいからなんじゃなかろうか。

  自分の背中でカチカチ音がするのも、火がくすぶり始めたのも、気付かずにいたなんて、ね。