浄土真宗本願寺派 教念寺
〒352-0004
埼玉県新座市大和田1−20−6
TEL:048−477−1713
FAX:048−477−0809
メールはこちら:
info@kyonenji.jp
  第53話  心臓のおはなし

 日野原重明先生の『いのちのおはなし』という絵本があります。『95歳のわたしから10歳のきみたちへ』という副題がついています。

 二十年前に母校の小学校で最初に「いのち」についての授業を行い、近年、授業を頼まれる学校が加速度的に増えてきてそうなのです。その中の一つの小学校での授業を再現して、可愛い挿絵の絵本が出来上がりました。

 暖かみのある絵と文が気に入り、さっそく購入しました。小学二年生の末っ子に読み聞かせると、目を輝かせています。

 本の中で、日野原先生が、子供達に聴診器で心臓の音を聴かせるのです。末っ子は、自分も心臓の音を聴きたい、と申します。

 『ああ、しまった…』

 高校二年生を頭に、二つ・三つ・四つ違いで四人いる我家では、どうもいろいろな面で末っ子は忘れられがちなのです。たまたま有る聴診器で、兄たちはじゃれあいながらお互いの心臓や肺や腸の音を聴いているのです。

 聴診器を末っ子に渡してみると、自分の心臓の音を聴いて「よかった、生きてるね。ボク、富士山に(七合目まで)登った時、心臓が飛び出しちゃうかと思ったんだよね。あの時は、今よりずっとすっと速くドックンドックンしてたんだよ」

 しばらくの間、家族中の心臓の音や、冷蔵庫や本棚の心臓(?)まで、いろいろ聴いてまわっていました。

 一日に心臓が動くのは約十万回。小学二年生には数が大き過ぎてわかりません。

 先日、「ボク、ちょっと心配なことがあるんだけど」と申します。

 心臓は、ボクが寝ている時も働いていて、疲れないんだろうか、と言うのです。

 実は、心臓は、収縮する時は働きますが、拡張する時は休んでいます。一日のうち半分は休んでいるから大丈夫なのだと説明すると、大変ホッとした様子でした。後に、友人の医師より、心臓は、電気的には休んでいる方が多いんだよ、と聞かされました。

 大事な大事な心臓ですが、「いのち」そのものではありません。「いのち」も「こころ」も見えません。見えないものこそ大切にしましょう、という日野原先生のメッセージが、どれほど吾子にと伝わったかはわかりません。

 見えない大切なものって、何でしょう。「いのち」「こころ」、それから・・・。なんだか楽しくなり、私の心臓もうきうきドキドキしてきます。