浄土真宗本願寺派 教念寺
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  第66話  詐欺返し


少し前に振り込め詐欺らしき電話がありました。

「あ、お母さん、あのね、携帯の番号が変わってね」と。非常にはかなげで可愛い言い方です。 我が家で携帯を持っている者は、こんな可愛い言い方はしません。

  ふと、以前巧みな演技で振り込め詐欺をまかしたSさんを思い浮かべました。そこで「お前、一体どうしてたの!何の連絡もしてこないで!」と言ってみました。

「お前に振り込め詐欺の疑いがかかっているんだよ。 よかったぁ、連絡くれて。今、刑事さんが来てるから変わるね」と言うと、「あ、すみません、間違えました」と切られてしまいました。

 そうそう、間違いのはずです。
  電話を切ってから、あぁ、失敗したなぁ、犯人の変わった、という携帯電話を聞いてから「刑事さんが来てるよ」と言えばよかったと思い、家族にもその事を話しました。

 すると、次男が笑いながら「母さん詐欺返しだね」と言うのです。
  その言葉にハッとしました。

 そうか、そういえば、以前、同様の電話を住職が受けた時は、相手にしないで叩き切ってたなぁと思いました。

 今回の電話で練習したから、次にかかってきたら、必ず電話番号を聞き出してから騙してやろう、といきまいていたけれど、私、詐欺を騙した事になっちゃうんだって。 門徒のSさんの場合は、犯人を諭す一言を言って電話を切っているわけで、私の場合はそうじゃないのです。

騙されないように気をつけなければいけないけれど、騙しちゃいけないです。反省、反省。

 そう、こんなんだから、月に一回、坊守日記の原稿を書こう、と原稿用紙に向かう私を、子供たちが「あ、月に一回の反省文を書いているんだね」と冷やかします。

 今回の電話みたいに、とっさの会話ほど、その人の人柄が出るもんだなぁ、と、子供が『詐欺返し』と言ってくれたお陰で、日頃の自分の会話を考え直してみました。

 パッと出る一言ほど、相手を傷つける事が多い気がします。なぜパッと出るかと言えば、日頃から、アノヤロー、コノヤローと思っているからであって、心の豊かさによるのかなぁと思います。心というものは、気をつけていないと、どんどん痩せていってしまうものなんですね。