浄土真宗本願寺派 教念寺
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  第91話 大きな宿題

 いよいよ今日だなあ、と朝起きて窓の外を見ると、大文字山から朝陽が早く出たがっていました。9月15日の京都は朝から快晴でした。普段そんな事はしないのに、思わず朝陽に手を合わせました。 
 午前中の法要でしたが、太陽は夏を終わらせたくないかのようにサンサンと照りつけます。御影堂をバックに記念写真を撮りましたが、眩しくて目を開いていられないほどです。
 添乗員さんの指示で順番に御影堂へ進むうち胸のわくわく感が高まって来ました。法要中に撮影出来ないので、それまでの間の門徒さんの表情やお内陣の様子をカメラやビデオに納めました。そしてちょうど真中の通路の最前列でしたから、沢山の方々がかわるがわるお内陣をバックに記念撮影をしている姿を見ていました。どの人も嬉しそうに笑みを浮かべて、誇らしげにカメラを向いていました。
 全ての人が100%万端整っての参詣ではなかったでしょう。寸前に具合が悪くなった方や、家族に何かしらあったという方もあるでしょう。仕事のやり繰りが大変であった人や、残してきた家族を心配しながらの人もあるでしょう。その中に小さな遺影を持って写真を撮ってもらっている方がありました。次に写真を撮る人が、私の脇へ並んでいましたから、遺影のお写真までは見えませんでしたが、きっとその家族も参詣を楽しみにしていらしたのに、先にお浄土で還られてしまったから、こうしてご一緒にお参りしたのだなぁと、胸が熱くなりました。  きれいに磨きぬかれたお内陣のお荘厳は言葉では表せないほど素晴らしく、花は生き生きとしていました。聖人の海のイメージの鮮やかな打敷には、聖人ゆかりの花や鳥が織り込まれていて、職人魂と共に聖人への熱い想いが込められているのを感じました。 
 音楽法要の参拝は初めてのことでしたが、称名とシンセサイザーと雅楽の織りなすハーモニーは、それこそ極楽浄土に流れる音楽もきっとこのようなものであろうと思われるものでした。お勤めしながら小さな子供の時からの様々な光景が心に浮かんでは消えていきました。
 そして、いったいどれだけ沢山のご縁によって、今私はここに座らせて頂いているのだろうかと、大変不思議な気持になりました。ご縁のたった一つでも欠けていたらなら、今私はここにはいないんだなぁと思うと、想像も出来ないくらい大きな大きな御手の中に居る気がしました。
 そして、法要が終わって大イチョウの陰で涼をとりながら、法要の余韻の中で聖人から大きな宿題を出された気持になりました。宿題の提出日は、どうやら50年後のようです。「いよいよ今日だな」ではなくて「まだまだこれから」でありました