浄土真宗本願寺派 教念寺
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  第98話 音楽会に行って

 「コンサート行きませんか?」と、招待券を頂きました。某テレビ公開音楽番組の招待券です。 2回分の収録をするとの事。第一部はエフゲニ・ボジャノフさんという、ブルガリア産まれのピアニストで、ショパン国際ピアノコンクールで、審査員の一人が拍手を贈ってしまったという逸話の持主です。

 当日渡されたプログラムの曲目は、ショパンとラフマニノフの代表作。ちゃんと私みたいな素人向けに良い曲を選んでくれているのですね。 抽選の席は前から十六番目のど真ん中。ピアニストの指までよく見えました。

 長い手足のボジャノフさんがピアノを弾き始めると、ピアノからキラキラした音色に合わせて、妖精や人魚姫が出てきてダンスをしているかのようでした。 足元には子犬がはしゃいでまとわりついているような。 それでいて、森の中で聴いているような爽やかな音色に、久しぶりに鳥肌が立ちました。当たり前ですが、素晴らしい演奏でした。

 もう十年も前になりましょうか。 地元の学生合唱団のコンサート時、ピアノのストラディバリウスと言われているベヒシュタインの音色を聴いた時も、たいして音響効果の良くないホールに響く澄んだ音色に鳥肌が立ち、ピアノのメーカーを知りたくて、席を前に移動した(自由席でした)のを思い出しました。

  演奏会の話をある友人にしたところ、その音楽番組で使うピアノなら、スタインウェイ(ベヒシュタインと並ぶ)ではないかとの事でした。残念ながら、日曜日のその時間にテレビを視る事は皆無で、確認は出来そうにありませんが。 ピアノメーカーやホールの音響効果の素晴らしさだけでなく、ピアニスト本人が素晴らしいと言う事が一番でありましょう。

 なぜなら、演奏が始まる時、ピアニストがピアノの前に座ったというよりも、ピアノがピアニストに席を開けた、という気がしたからです。 なんと素晴らしい事でしょうか。

 ふとこう思いました。特技も特別な資格も持たない私には、そんな場所はありません。 いや、でも、違うよな、と思い返しました。 ピアノが席を開けたように、いつでも私を待っていてくださる場所があるじゃないですか。 阿弥陀さまが、いつでも私に席を開けてくださってるじゃないですか。 その日の素敵な音楽との出逢いは、阿弥陀さまとの関係の再確認でもありました。