浄土真宗本願寺派 教念寺
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  第109話 枯れないお花

 東京のお盆少し前に、亡父のお墓参りをしました。はい、家業柄、お盆やお彼岸にお墓参りはほぼ不可能で、ここだけの話ですが、その時期を避けてお参りします。
 今年は、偶然にも、自分の誕生日と弟の誕生日にお参りしました。
 やはり、四ヶ月ぶりだけあって、汚れもそれなり。草むしり・掃除・お参りを済ませて、清々しい気分になって、ふと、近くのお墓が気になりました。
 とても綺麗なお花がお供えしてあるのに、墓石がめちゃめちゃ汚いのです。
 きっと、お墓参りに来れないご事情があるのでしょう。その家の方を責める意味ではなく、汚れがひどい墓石と、綺麗なお花があまりにもアンバランスで、お墓に近づいてみましたら、なんとお花は造花でした。
 すごくよくできてる造花に、またまたびっくりした私。
 きっと、なかなかお墓参りできないから、せめてもの気持ちで綺麗なお花をお供えしたかったのでしょう。
 ただ、やはり少し寂しくなりました。
 花は枯れるからよいのです。
 そして、ある時の電話相談を思い出しました。
 本物そっくりにできたフルーツがあるが、それをお仏壇にお供えしてもいいか、という質問でした。自分はフルーツを食べないから、というのがその理由でした。
 なるほど、確かに、お供えを捨てるわけにもいきません。
 そこで、こう言ってみました。
「本物そっくりの果物やお餅やお菓子を、お下がりであなたが食べる事ができますか?自分が食べられないものを仏様にお供えするのは、どうなんでしょうか」
するとその方は
「あっ、確かに、そうですよね。あの〜大変訊きにくいんですが、やはり、お花も造花はダメでしょうか?」
 昼間、誰も家にいないので、家を閉めきってしまうからか、お花がすぐダメになってしまうとの事でした。
 一輪でもいいんです。豪華にすればいいわけではないので、お庭に花があれば、それでいいのだし、特に夏場は花数を少なく、枯れたらマメに生け代えればよいのではないかと話しました。
 お香だけでなく、果物や花にも薫りがあります。薫りをお供えするのです。
 造花には薫りがありません。
 こんな事を言うと、本物そっくりの薫り付き造花、が、売り出されそうで、ちょっとヒヤヒヤするのですが。
 花は枯れるからよいのです。