浄土真宗本願寺派 教念寺
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  第163話 捨てられたお弁当

 「うわっ!」と声を出したかもしれません。数年前、駅のお手洗いのゴミ箱に、ゴミを捨てようとした時です。
 そこにはお弁当箱をひっくり返したままの形のお弁当が捨てられていたのです。裏返しでも、冷凍食品を使っていない事がわかりました。お家の人が心をこめて手作りをしたお弁当でした。
 私自身、今はお弁当作りが無罪放免になりましたが、その時はまだ四男のお弁当を作っていましたから、お弁当を捨てた女の子(高校生の可能性が一番高いですが、それもわかりません)に憤りと哀しさとが合わさった、何とも言えない気持ちになっていました。
 それから暫くして、四男がお弁当を残してきました。どうしたのか、と、訊ねると、ちょっと委員会の事で食べる時間がなくなった、と言います。どうせ忘れた宿題でもアセアセでやっていたのだろうな、と思いました。また、苦手なものだと急な腹痛で残したと言ったり、友達に付き合って、食堂でも食べたから、と、苦手なものだけ残したり。
 そしてその時に、捨てられたお弁当の事を思い出しました。そうか、あの子も付き合いがあって、友達に合わせたりして、食べきれなくなったのかもしれないな、と思いました。
 暫く忘れていた捨てられたお弁当を、先日、たまたま同じ駅に降りた為にふと思い出しました。
 長男が苦手な野菜を残してきていた高校時代、何とか上手く加工して、食べてくると勝った気分でいましたが、次男が高校生になると、二人して苦手な野菜を入れるな、の、シュプレヒコールがありました。
 そう、親への反発があるなら残すのです。お弁当を捨てたあの子は、もしかしたら、作ってくれたその人に、心配かけたくなかったのかもしれません。
 もしそうなら、子どもは親や周りの大人に心配かけていいんだよ、と伝えたいなぁと思いました。なぜなら、今の大人たちも、子どもの頃にはやはり周りの大人に心配をかけて大きくなったからです。
 そして、大人になってからも心配かけている方があるのです。仏様の眼差しは、心配かけていいんだよ、見捨てないよ、いつも一緒にいるよ、と常にこの『私』に優しく注がれていますものね。