浄土真宗本願寺派 教念寺
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 第17回 五戒について

 僕たちが生きている世界には、いろいろなルールがあるね。例えば通りすがりの人を殺しちゃいけないし、ナイフや包丁で刺してもいけない。気に入ったからって、連れ去ったりどこかに閉じ込めてもいけない。そんなことをしたら、大変なことになるよ。だから一つ一つ、「これこれのことをしたらこういう罪になるから、やっちゃいけませんよ」って法律で決められているんだ。

  仏教徒の中で昔から親しまれてきたルールがある。それは、「戒律」って名前で呼ばれているよ。一人一人のお坊さんや信者さんが悟りに近づくために作ったルールが「戒」、教団としての集団行動を乱さないために作ったルールが「律」だよ。

  お釈迦様の時代の仏教教団には、何百ものたくさんの戒律があったんだ。その中の一部、在家信者(お坊さんじゃない一般の信者、門信徒)のための五つの戒を見てみよう。

  1つ目は「不殺生戒」・・・「生き物を殺さない」ってもの。次に「不偸盗戒」・・・「人の物を盗むな」ってもの。3つ目は「不邪淫戒」・・・「みだらな男女関係は許しません」ってやつ。4つ目は「不妄語戒」・・・「うそをついてはいけません」ってこと。最後の5つ目が「不飲酒戒」・・・「酒を飲むな」ってもの。この5つの戒が仏教での基本中の基本、五戒といわれるルールなんだ。どれも当然といえば当然、でも案外難しそうだよ。

  まず1つ目の「生き物を殺さない」ってもの。ぼくたちの食卓に、お肉やお魚がのぼらない日はないよね。そんな肉や魚を食べてるなら、殺生をしていることになる。ベジタリアンの人だって、野菜という生き物の命を奪っているから、やっぱり同じこと。食事以外を見ても、ゴキブリやハエ、蚊などの害虫を殺すよね。それもかなり積極的に。人間にとって害があるということだけど、虫の立場に立ったならむやみやたらと殺されたらたまらないよね。

  次に、人の物を盗まないってもの。みんな「おれは泥棒なんかしないよ」って顔しているけど、この不偸盗戒、人のものを羨んだり欲しがったりすることも含まれるんだ。新しいゲーム機を見れば欲しくなるし、友達がマウンテンバイクに乗っていれば自分も欲しくなるよね。「欲しい」「うらやましい」と思った時、もう不偸盗戒を破ったことになるよ。それから、盗むってのは何も物だけじゃない。知識・思想・絵や音楽の作品なんかも含まれるよ。人が言ってたことを、さも自分が思いついたことのように口にするってこと、案外よくあるんじゃない?

  1つとばして、その次の「うそをついちゃいけない」ってもの。ぼくたち、案外日常的にうそついているよね。少しでも自分をよく見せたかったり、人に罪をかぶせようとしたり。本当の姿は隠しておいて、「できることなら、ばれないですませたい」っていう、見得張りで自分勝手な心がその元にあるよ。

  さて、これらの5つの戒律、みんな守れるかな?珍念さんはね、5つとも全部×。生き物殺すし、人の物欲しがるし、女の人大好きだし、うそばっかりついてるし、お酒もこの前住職にもらって飲んじゃったし。仏教の歴史の中に脈々と伝えられてきた「五戒」の教えなのに、まったく情けない。でもね、実はそんなの、とっくの昔に阿弥陀様はお見通しだよ。「珍念に五戒を保てるわけがない」ってね。「保てない者が保てないまま救われる」「情けない者が情けない姿のまま救われていく」、これが阿弥陀様のお慈悲だよ。着飾ることも、よく見せる必要もなく、ありのままの姿を許してくれるんだ。