お誕生日のお話
うちの四男は、私の母の還暦の誕生日に生まれました。その為、ずっとお誕生日会を一緒にやっていました。ところが、部活の合宿や学校の予定などで、だんだん一緒にはできなくなってきました。成長と共に、それは当たり前の事であります。
ここ何年も母と二人でお誕生日会ですから、今年はサプライズで従姉(母の姪)を呼びました。従姉を迎えに行くまで母には内緒にしていました。作戦成功で、母は暫くの間、楽しいお誕生日会だった、と話していました。
自分や家族と同じ誕生日の人に出逢うとなんとなく嬉しくなりませんか?
私の祖母には誕生日が二つありました。元日の日の出と共に生まれた祖母は、あまりにも小さい事と早生まれの事を心配した曽祖父が、5月21日で届を出したそうです。すぐ上の姉とは、生まれた時の状態があまりにも違ったそうなのです。明治の終わりの方に生まれた祖母でした。その話を聞いた時、時代のアバウトさに大変驚いたのを覚えています。
今年は親鸞様がお生まれになってから850年目ですので、本山ではお誕生日をお祝いする慶讃法要が開かれております。ご満座が5月21日です。祖母は浄土真宗に篤い家庭で育ちました。曽祖父がどんな思いで小さく生まれた祖母を5月21日にして届け出たのかというのが、今頃少しわかる気がします。
私達真宗門徒には、お誕生日が3回あると言われています。一つは母親からこの世に生まれてきた日、もう一つはお浄土に還り、阿弥陀さまの元へ生まれる日。残る一つはいつでしょうか。
それは、浄土真宗に出あい、帰依した日です。
私自身は、というと、実はその日がよくわかりません。祖母のおかげで小さな頃からご本山やお寺が身近にありました。ただ、自分から意識して手を合わせたのは大好きな祖父が亡くなった時でした。小学校4年生の1月16日でした。多分、周りの大人達がするように、手を合わせたのでしょう。「親父はいい日に亡くなったなぁ。今日という日は日本中の(浄土真宗の)僧侶がおつとめしてくれる日だ」と隣で父が言いました。