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少しだけ残念

 10月からNHKは新しい朝ドラになったばかりですから、視ている人はまだ皆さん前朝ドラの余韻が残り、新朝ドラ熱はまだまだ上がらず、の頃でしょうか。毎朝の(或いはお昼の)ルーティンで視ていたり、ヒロインやキャストの誰かのファンで視ている人もいるでしょう。毎日毎日視ていても、昨年の同じ時期にどんなドラマをやっていたかはあまり覚えていないように思います。
 前の朝ドラは法曹界がテーマでした。実在のモデルがいるケースはなんとなくわかりやすく、自然とヒロインを応援したくなるものです。
 ヒロインは大正3年生まれで、時代的には昭和の初めからスタートしました。
 目を引いたのは、戦前の法服でした。ドラマでしか見たことはないのですが、私の知っている黒いガウンではなく、胸元から襟にかけて唐草模様の美しい刺繍が施され、聖徳太子さまのような帽子を被っているのです。ドラマの中で、女学生達が法廷劇をするにあたり、皆んなで法服を手作りしていて、裁判官・検察官・弁護士が、刺繍の色でわかれているのだと知りました。色で分かれているなんて、なんだか冠位十二階みたいだーとワクワクしました。
 気になって調べてみましたら、やはり明治時代に法服をデザインした人は、聖徳太子さまの装束を参考にしたのだそうです。法服は法廷の荘重さと法曹の威厳を示すために聖徳太子さまとされた図像を土台とし、ヨーロッパの法服を参考にもし、和洋折衷の独特なものとなりました。しかも、当時法服を作っていたのは呉服屋さんだったそうです。
 そしてふと思いました。私が子どもの頃は五千円札も一万円札も聖徳太子さまでした。昔の百円札で聖徳太子さまのを見たこともあります。
 7月からお札が新しくなり、今、お財布の中には一番いろいろな人が入っている時ですね。埼玉県民としては、一万円札に渋沢栄一さんなのはとても嬉しいのですが、実は私は、もう一度聖徳太子さまに復活して欲しいなぁと思っています。聖徳太子さまを知らない小学生がいるのが、少しだけ寂しく残念な気持ちになるから、なのですが。

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