バイバイ、赤チン
この5月いっぱいで、赤チンがついに姿を消す事となりました。厳密には暫くは販売はされるようですが、法律によって2020年12月には国内での製造も規制されるそうです。
私も小さい頃、母や小学校の保健室で擦りむいた時に塗ってもらった記憶があります。光の加減で玉虫みたいな緑色になるのが不思議でした。ただ小学生の頃から我が家では色のついていない消毒薬に切り替わり、家の中で見かける事はなくなり、その存在すら忘れかけていました。
現在国内で一社になった製造会社ですが、最盛期には100社ほどが赤チンを生産していたと聞いて大変驚いています。更にまだ愛用者がいるという事にも驚きを隠せません。
赤チンは製造過程で水銀の廃液が発生することから原料の国内生産が中止されました。それでも原料を輸入することは禁止されていなかったため、愛用者に応える形で平成に入っても一部の企業は製造販売を続けていたそうです。
赤チンの殺菌効果は弱いのですが、年配の方ほど赤チンに愛着を持っておられるのは、しみない消毒液という他にも、やはりある種の愛を感じるのかもしれせん。『手当て』をしたという証が赤く残るからでしょうか。
思い返せば、我が家の子ども達がわんぱく盛りの頃、少々の傷は自然治癒力におまかせしていましたから、いざ消毒薬を使おうとすると、使用期限切れになっていたりした我が家でありました。何ともアバウトな子育てをしてきました。
さて、少し前に子どもが風邪をひきました。子どもといってももう成人していますから、検温を促しながらある事を思い出しました。その子がまだ小さかった時「お熱があるみたい」と言うとお婆ちゃんはおでこに手を当ててくれるけど、お母さんは当ててくれないね、と言いました。その時おでこでは正確な熱は測れないからね、と言いましたが、きっとそれは字の如く『手当て』を望んでいたのかもしれません。
赤チンとおでこに手、の昭和のお母さんに育てられた平成の母(私)は手当てを軽んじた子育てをしてしまいました。赤チンバイバイの報せの中、令和のお母さん達はどうなるのかな、なんて考えてみたりしています。