リンゴと柿と干し柿と
ある料理家の先生が、お嬢さんにリンゴを剥いてもらったら、凄く美味しかったのだ、と、エッセイで書いていました。ひとに剥いてもらった果物ってなんて美味しいんだろうと仰っていました。
お料理のプロでもそうなんだなぁ、と、なんとなく嬉しくなりました。
「リンゴが赤くなると医者が青くなる」と言いますね。他にもトマトや柿も、医者が青くなるものがあって、いやいや、このコロナ禍、医療従事者は青くなるより黒くなってます。ブラック企業同様に連日残業を強いられています。
昨秋は、総代のYさん宅の柿が豊富で採りに来てーとお声が掛かり、たまたま遊びに来ていた次男が初の柿狩り体験と相成りました。コロナやインフルエンザが猛威をふるっていても、我が家は柿やリンゴのおかげで結界ができているのかもしれません!
初冬には広島教念寺の坊守である叔母から『祇園坊(ぎおんぼう)』という干し柿が届きます。これは広島の太田川上流域が育ちやすく、他では育ちにくい幻の柿なんだそうです(叔母の言)。確かに市田柿や百目柿のようにあまり知られていません。あの夏目漱石も愛した祇園坊柿なんだそうです。
近年、柿渋タンニンがコロナウィルスに効くのだと、幾つかの国立大や医科大で研究が進んでいるようです。食べ過ぎはもちろんいけませんが、昔からあるもの、古くから大切にしてきたものを見直してみるべき時なのではないか、と思います。
柿を干し柿にするには、一つ一つ人の手が入ります。干し柿にする前にも、木から狩る手間は機械ではできません。柿やリンゴなどの果物に限らず、人の手が関与しないとどうしようもないものがあります。
先の料理家の先生が、ひとに剥いてもらった果物が美味しいと仰ったのは、きっとその手間が美味しさに加わっているからなのだと思うのです。
今年は手惑う事ないようじっくり手間をかけた生き方ができたらよいのですが、手始めに誰かに果物を剥いてもらう事から、でしょうか⁉︎