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レレレのおじさん

 ご門徒さんから、お庭のミョウガをたくさん頂きました。爽やかな香りとシャキシャキ感、最高!と、薬味とは思えぬ程、毎食ガバッと乗せて頂いています。
 ミョウガを食べると物忘れが酷くなると言われるのは迷信ですので!
 昔、インドに周梨槃特(シュリハンドク)という人がいました。周梨槃特は物忘れが酷く、自分の名前も忘れてしまうほどでしたので、名札(名荷=みょうが)に名前を書いてぶら下げておりました。その事を嘆いていた時、お釈迦さまが箒を与えて「塵を払い、垢を除かん」と唱えながら掃除をするようにと仰いました。来る日も来る日も掃除をしていた周梨槃特は、ある時ついに、それは自分自身の心に積もった塵と垢であったのだと気付き、それらを捨てて離れることによって悟りを開きました。
 その周梨槃特のお墓から芽が出た植物が夏に美味しいミョウガであったので、その名前がついたのだそうです。
 子どもの頃に「天才バカボン」というアニメが面白くて、テレビでよく視ていました。「レレレのおじさん」という黄色い着物でいつも箒で掃除をしているキャラクターを、父が周梨槃特みたいな人だなぁと笑っていました。少し前に幼馴染にそんな話をしましたら、お父さん、なかなかいいとこついてるよ、どうやらその通りみたいだと教えてくれました。
 そういえば「天才バカボン」は馬鹿なボン(坊や)ではなく、「薄伽梵(バギャボン)」であり、その意味は「尊敬される人」あるいは「目覚めた人」=「ブッダ」であるとのことを以前聞いた事がありました。
 子ども時代のヒーローのウルトラマンは弥勒菩薩さまがモデル、月光仮面(私の頃はアニメでしたが)は月光菩薩さまから。レインボーマンというヒーローの変身呪文のアノクタラサンミャクサンボタイと唱えているのを聞いた父は、「阿弥陀経さんの文言が変身呪文かぁ」と苦笑いしていましたが。
 私達世代は知らない間に仏教に触れていたわけです。今の子ども達のアニメやヒーローものはどうなのでしょうか。
 ま、きっと、時代に合わせた楽しいアニメやヒーローものがあるのでしょう。私は、今日も物忘れを心配せずに、ミョウガを美味しく頂きます。そうだ、これでいいのだ!

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