蓮如上人御一代記聞書50
「信謗あるべきよし」
みんなが大事にしている念仏の教えを批判されたり悪く言われたらどう思う?すごく嫌な気持ちになるし、言い返してやりたくなるよね。あるいは、この教えで大丈夫なのかなって不安になっちゃう人もいるかもしれない。でも蓮如上人はこうおっしゃった。
仏説に信謗あるべきよし説きおきたまへり
すでに仏様の教えの中に、「念仏の教えを信じる人もいれば謗る人もいる」と説かれているんだとね。実際お釈迦様のこんな言葉が伝わっているよ。
過去にも、今にも、未来にも、皆にて謗る人もなく皆にて褒むる人もなし(法句経)
今も昔も、すべての人から謗られる人もいなければ、すべての人からほめられる人もいないということで、つまりはお釈迦様のことも褒め称える人ばかりではなく、けなし謗る人もいたということだね。でもお釈迦様は謗る人を説き伏せようとはせず、当然のこととして受け入れられていたんだ。
念仏一つで救われるという浄土真宗の教えは、一般仏教の常識からかけはなれたものだから、親鸞聖人の時代から批判の対象になってきた。あんなものは仏教じゃない、さとりを求めて努力するのが仏教だってね。
議論するのが悪いことではないけれど、お互いが自分を正しいと思って理解し合おうとしないなら結局は平行線になっちゃう。むしろ敵を作ることになるし、相手を仏法から遠ざけることになりかねないから、そんな議論はしない方がいいよね。
蓮如上人は続けて、「もし信じる人だけがいて、謗る人がいなかったなら、お釈迦様のお説きになったことは本当なのかと疑問に思うであろう。しかし、謗る人がいるのだから心配ないし、本願を信じる人は、仏説の通りに浄土に往生することが定まるのだよ」と言ってくださってる。
人からけなされても批判されても、言い返す必要もないし不安になる必要もない。仏説は間違いないと受け止め、さらに仏説に誓われた私の往生は間違いないと教えてくださっているんだよ。