1. HOME
  2. 仏教コラム
  3. 蓮如上人御一代記聞書11「世間のひまをかきてきくべし」

蓮如上人御一代記聞書11
「世間のひまをかきてきくべし」

みんなは、お寺に行ったり法話を聞きに行くときに「時間ができたら行こう」とか「ひまになったら聞こう」とか思っていないかな?
そんな僕たちの怠惰な心を、蓮如上人は

仏法には世間のひまをかきてきくべし。世間の隙をあけて法をきくべきやうに思ふこと、あさましきことなり。

「仏法は世間の用事を差しおいて聞きなさい。世間の用事を終え、ひまな時間をつくって仏法を聞こうと思うのは、とんでもないことですよ」と戒めてくださっているよ。
僕たちは、日々の生活に追われて忙しく立ち回っているけど、その心をよく見てみると、煩悩に引っ張りまわされているだけなんだ。人より得したい、損したくない、楽したい、自分の事を認めてほしい、立派な人だとほめられたい…。
そんなことばかり考えて、毎日毎日忙しく走り回っている。
その延長線上に仏法を考えていると「忙しいから行かなくていいや、また今度行こう」ってことになるんだけど、煩悩に限りはないから忙しい生活は、いつになっても終わることがない。そうこうするうちに、法を聞くこともなく一生を終えてしまうことになってしまう。今度なんてものは、ないんだね。そうならないように、蓮如上人は世間の用事を差しおきて聞きなさいと教えてくださっているんだ。
続いて蓮如上人は親鸞聖人の和讃を示されるよ。

  たとひ大千世界に
  みてらん火をもすぎゆきて
  仏の御名をきくひとは
  ながく不退にかなふなり

「みてらん火」とは、心の中の燃え盛る煩悩の火のことで、世間の事に振り回されている僕たちの姿をいっているよ。
でもこの世間の事から一歩踏み出して「仏の御名をきく」、つまり一番大事な阿弥陀様の願いに出あう人は、「ながく不退にかなう」つまり必ず浄土に往生して仏とならせていただくのだよ、とお示しくださっているんだ。

関連記事